2024年6月24日月曜日

朝顔日記 宿屋の段

こんにちは木工定食です

朝顔日記 宿屋の段


先日梅雨前に障子紙の張り替えをやらせていただいたのですが
少し貴重な経験をさせていただいたので紹介します

一部4本引き違いの箇所を和紙で張り分けしてあったのですが
今回の張り替えは張り分けながら少し雰囲気の違った材料で選びたいとの要望でした
見本帳をお客さんと眺めながら決めたのがこちらの材料です↓


材料自体は襖紙を張る時に使う下紙で太字で文字が書いてあります
内容というより感覚でこれ面白いねって感じで決定しました
文章の内容は後から調べたら浄瑠璃に出てくる物語で
『朝顔日記 宿屋の段』というそうです
あらすじは昔の恋愛小説のようです
自分は右上の題名の所の朝顔日記の文字しか読めませんが、、、
人文学とか見識のある方は読めるんでしょうね
で張り上がったのがこちらです↓


襖の下張りの材料なので結構薄いです
一度茶色い下張り紙を貼って乾いてから背面に障子紙を貼りました
なので茶色い下張り紙の部分は二重に紙が貼られている状態になります
裏から見ると普通の障子のように見えます
張り分けのデザインは少し他のパターンも検討してみましたが
既存と同じ感じが一番しっくりきたので同じ箇所で張り分けてます

障子の張り替えでは今回のような張り分けは初めてやりました
実際収めてみると部屋の雰囲気にとても合っていて工場で見ているより良かったです
施主さんのセンスが現れる張り替えになりました

今回使用したのは無地の下紙に印字された物で文字系では他に数種類あります
施主さんとの話の中で江時代とか昔は下張りの材料は
使い終わった帳簿を再利用したりしていたみたいね、なんて話を聞きました
やはり江戸時代はものすごいSDGsだったみたいです
襖に限らず骨董品の世界ではこうした古紙を集めている収集家の方がいたり
古紙の文章を解読して時代背景を考察する事もあるようですね


伊豆の国市 建具屋 山口木工所でした

2024年6月21日金曜日

麹箱の制作

こんにちは木工定食です

今日ご紹介するのは麹箱の制作です


今年春頃遠方の醸造所さんから麹箱の製作の相談をいただきました
遠方なので写真と各部の寸法を図って送っていただき
まずは見積もりをさせていただきました

日々の醸造の作業で気いた改善したいヶ所の相談もいただき
対策方法を提案させていただきました

伝統ある醸造所さんなので
基本は今まで使ってきた製作方法を取る形で進める事になりました
細部までこだわる意識がとても感じられる打ち合わせでした
現在使っている麹箱の現物も送っていただいたので打ち合わせもスムーズにできました


材料は杉材を使用

板と板を止める工法は抜きホゾ
写真では分からなかったのですが
ホゾに打ち込むクサビという部材は竹で出来ていたので
こちらも竹で制作しました接着剤は不使用です



底板を止める釘は真鍮の丸頭です
こちらもステンレスの釘の提案をさせていただきましたが
従来と同じ材質の真鍮で製作しました



一見シンプルな木製の箱ですが
使う人の意思と思いが詰まった木箱です

そんな思いの詰まった木箱
最後はしっかり梱包して完成です


到着後醸造所さんのチェックをいただき無事納品完了となりました


伊豆の国市 建具屋 山口木工所でした