2023年7月25日火曜日

衣桁の修理 カシュー塗り仕上げ

こんにちは木工定食です

衣桁の修理

先日過去のブログを見ていただいたお客様に
ご相談のお電話をいただきました内容は衣桁の修理のご相談でした

その前に衣桁の事を少し

衣桁(いこう)と言います
漢字の見た目でなんとなくは読めますが
知らない人はどんな物かわからないかなと思います

前回の写真ですがこちらが衣桁です↓

自分も数年前に修理をするまで衣桁と言う言葉には馴染みがありませんでした
昔のブログを見ると 衣紋掛け? とか書いてありましたね、笑
当時は言葉は知りませんでしたが
目にした事がありますよねって認識でした

前回ブログに書いた当時は塗師屋さんがこの辺には無く
塗りが剥がれている箇所が足の一部分だったので
お客さんと相談して黒の塗料で色付けする程度で終わりました
この時も全体のホゾの緩みと蝶番が壊れてしまていました
作業内容は本体の組み直しと蝶番金物の取り替えでした

しかし時を経て6年前くらい前に富士市の塗師屋さんと付き合いができました
上の写真の過去物件は8年前くらいになります

という事で一度見積もりをさせていただく為に現調に伺いました
現状は全体的に結構剥がれています
本体のホゾ組みは全体的にスポッと抜けてしまう位グラグラなので
蝶番も本体の動きがあるので歪んでいました



作業の内容は
全体の組み直し / 本体表面の塗り直し / 蝶番金物の取り替え
以上のような内容になります

お見積りを提案させていただいてOKをいただきました
衣桁もお預かりして工場で分解する所から始めます
全体はグラグラだったのでホゾはすぐ抜けました
接着剤の効力は切れていてますが部材に残って付いている接着剤がります
古い接着剤が残っていると新しい接着剤が染み込みにくいので
ノミで削って綺麗に取り除きます


組み直し後クランプで挟んで乾くまで置きます
この後は塗師屋さんに持ち込んで塗り仕上げをしていただきます
塗りの工程は乾くのに時間が掛かるので2週間ほどかかります
塗りが仕上がったら新しい蝶番を取り付けて完成です


仕上がったら完成の写真を追記でご報告します


という事で塗師屋さんに持ち込んで完成しましたので続きの報告です

全体的に剥がれそうなところは剥がしてもらい仕上げてもらいました
とても良い感じに仕上がりました


下部の板の絵の部分は残す方向で手を加えない予定でしたが
塗師屋さんに相談したところ
『カシューのクリア(透明)で上塗りすると艶が戻るよ』という事で
上塗りしてもらいました全体の艶感と統一できたので良い感じに仕上がっています



最後に千切れかかっていた蝶番を取り替えて完成です


衣桁の組み直しは今までありましたが塗り直しまでやるのは初めてでした
予算が許せばとても良いと思います

 塗師屋さんも減少しており今回お願いした塗師屋さんは富士市の方です
ここ伊豆国市からは1時間20分位かかります

話をしていると西方面は静岡市、北方面は山梨からも持ち込まれているようです
できる人が少なくなっている様で伺うと予定は大体混んでいます
また神社仏閣なども漆より施工性の良いカシューで仕上げる現場もある様で
現場に塗りに行く事もある様で忙しそうです

ちなみに襖の黒い縁も塗り直ししたりできます
カシューの耐久年数は40年、50年だそうです。
長いですね塗装の比じゃないです
部分的にちょっと禿げる事はあっても塗り直しを検討する位になるまでは
一般住宅ではなかなかないかもしれません
襖の塗り直しもあるけどやはりお寺さんが多いようです

最後にカシューって一体何だろうか?という事ですが
カシュー塗料の原料はカシューナッツから生成されています
薄め液などが配合されているため一応塗料という表記になっているそうです

漆の様な仕上がりですが漆より施工性、乾燥時間が短い事から普及した様です
今でもこれらの理由と価格面から選ばれる事がある様です

伊豆の国市 建具屋 山口木工所でした